墨色と雪色という皮膚感覚でわかりやすい色の対比関係から、墨と雪は正反対の二つを表す慣用句だそうです。
今回作ることとなったうつわとしての「墨と雪」では、墨色、雪色をプロダクトのカラーとして使いながら、その対照的な2つの色がうつわの中でとけあい、調和することを個人的な目標としています。
一つのうつわに全く違う表現を同居させるというのは、日本の陶芸ではごく当たり前のこととして作られてきました。
また日本の文化はそのような焼き物を違和感なく日常の中に受け入れてきた歴史があり、全く異なるものを平気で同列してしまえるというのは日本人の大変ユニークな民族性だと思いますし、多様性に対する自然な態度ではないでしょうか。
そのようなミックス精神を大げさなものではなく、日常で使ううつわで表現したいと思い、使いやすさ、美しさ、なめらかさを皮膚で感じられる「墨と雪」を目指しています。